まだ先だとしても知っておきたい「不妊」や「不妊治療」のこと

女性の身体

不妊治療が令和4年から保険適用の治療になるように準備が進められているというニュースを聞いたことはあるでしょうか。そのほかニュース以外でも「妊活」や「不妊治療」というワードは、andmoreの読者さんは特に耳する事が多いかと思います。

ただ、妊活や不妊治療など自分にはまだまだ先の事と思っている方は少なくですよね。最近では晩婚化に伴い30歳を超えても未婚の人は増えてきていますし、女性の社会進出が進み仕事が充実しているという人も多いでしょう。でもいざ「子どもが欲しい」と思ってもすぐにできるとは限りません。

不妊治療は30歳代後半あたりから始める治療というイメージがありますが、20歳代で不妊治療を始めている人もいますし40歳代で自然妊娠したというケースもあります。実際に不妊治療をはじめている人の平均は33歳というデータもあります。自分の卵子の質や在庫、またはパートナーとの相性もあるのでまだまだ不妊治療は関係ないということはないかもしれません。

独身でも考えておきたい妊活や身体の事は前回の記事で詳しく取り上げているので、良かったらチェックしてみてください。

もうすぐ妊活を考えている方や、まだ独身だけどいずれは子どもを望んでいるという方は、不妊症や治療法について知っておくといいかもしれません。一緒に見ていきましょう。

不妊症かどうかはどうやったらわかる?

ソファでくつろぐカップル

WHO(世界保健機関)によると「健康な夫婦が避妊をしないで夫婦生活を送っているにもかかわらず、1年間妊娠しない状態のこと」を不妊としています。
そしてこの不妊という状態から妊娠を希望して医学的な治療を受ける、あるいは必要とする場合を「不妊症」というようです。
不妊の割合は妊娠を考えている夫婦にの10組に一人が不妊であると考えられていて、20歳代前半では5%以下、20歳代後半では9%、30歳代前半では15%、30歳代後半で30%、40歳代以上では60%以上と年齢が上がると共に増加する傾向にあるようです。
女性の卵子は年齢と共に減少しますし、男性の精子も遺伝子異常が加齢と共に増えると言われています。WHOの定義では1年とありますが年齢が上がるほど妊娠率は下がってしまうので、35歳以上で3ヶ月(生理周期3回)自然妊娠をしなかった場合、医療の力を借りることを進めている産婦人科医もいます。

不妊の原因は世間的に女性側に原因があると見られがちですが、実は男性側に原因があることも少なくないようです。WHOの報告によると、女性のみに原因がある割合が41%、男性のみに原因がある割合が24%、男女ともに原因がある割合が24%という結果があります。

妊娠までの流れと起こりうるトラブルは?

妊娠に至るまでは色々なプロセスがあります。小学校の保健の授業でも習いましたが、忘れてしまったしよくわかっていないという方は多いのではないでしょうか?妊娠までの流れを追ってみてい来ましょう。

1.排卵

卵胞が月経周期に合わせて成長し卵子として卵巣から放出されることを排卵と呼びます。この卵子は卵管に取り込まれここで精子を待ちます。卵子の寿命は排卵後約24時間といわれています。
排卵が起こらない病気や卵管が詰まっていて受精できないといったトラブルがあります。

2.セックス

セックスにより射精された精子は膣→子宮頸管→子宮→卵管へと進み排卵された卵子を待ちます。1回の射精で1億個以上の精子が放出されますが、卵管までたどりつけるのは限られた数のみです。
男性側のトラブルとして精子の運動量や形が正常でない場合や数が少ない、女性側のトラブルとして頸管から分泌される粘液が不足していて精子が入ってこれないことがあります。

3.受精

卵管で卵子と精子が無事出会い融合すると受精卵と呼ばれるものになります。受精卵は細胞分裂を繰り返しながら4から6日かけて卵管から子宮に移動します。
女性側の免疫の異常で精子が活動できなかったり受精できないことがあるようです。

4.着床

子宮内へ到着した受精卵が7日目くらいに子宮内膜に着床します。このとき子宮内膜は受精卵を迎えるために厚くベッドの状態になっています。約12日後に着床が完了し妊娠に至ります。そのあと順調に受精卵が成長すれば、着床開始後約10日前後で妊娠の反応が出るようです。
子宮筋腫などの病気で着床しにくくなっていたり、子宮内膜が成熟しておらず厚みがなく着床出来ないなどのトラブルがあるようです。

以上が簡単な妊娠成立までの流れです。トラブル内容も簡単に取り上げましたが、次は女性と男性に分けて詳しくトラブルの原因をみていきましょう。

女性側の不妊って何が原因なの?

考える女性

女性側の不妊が排卵が原因のもの、卵管が原因のもの、子宮が原因のもの、頸管が原因のもの、免疫が原因のものに分類されているようです。それぞれの原因を詳しく見ていきましょう。

排卵が原因のもの

妊娠は排卵がなければ成立しません。そのため、排卵障害がある場合は不妊である可能性が高いといえるようです。
毎月生理が来ているから大丈夫という人でも、もしかしたら排卵がされていない場合もあるようです。
月経の周期が25日から38日で、基礎体温が二相性(高温期と低温気があること)の場合には排卵が行われていて心配はいらないようなので、まずは婦人体温計で基礎体温のチェックを習慣づけるといいかもしれません。

排卵障害になる原因には様々な理由があり、環境の変化で大きなストレスを抱えている、無理なダイエットで短期間に大幅に体重が減少したといったものは身近に起こりやすい原因です。
また、本体なら40歳代から50歳代頃に迎える閉経が、まれに20歳代や30歳代にも関わらず、卵巣の機能が極端に低下してしまい無排卵になってしまう早期卵巣不全という物もあるようです。

卵管が原因のもの

卵管は卵巣から出された卵子を取り込み、そこで受精した卵子を子宮へと運ぶ細い管の事です。
その卵管が詰まっていることにより、卵巣で排卵された卵子がいる卵管に精子がたどり着けなくなってしまいます。またどうにか受精できたとしても、その受精卵が子宮へ移動することは簡単なことではありません。そのような卵管の問題があるために不妊になることがあるようです。

卵管が詰まる原因として炎症して卵管が癒着して閉塞したり、卵管が狭くなって通れなくなってしまう事ですが、その大きな原因として考えられているのがクラミジアや淋菌の感染といった性感染症です。
クラミジアはおりものや腹痛、出血などの症状が出る場合もあるようですが、初期ではほとんど無症状なので感染していることに気づかないままということも多いようです。

また子宮内膜症といって、本来子宮の内側にできるべき子宮内膜がそれ以外の場所にできてしまうことも原因としてあるようです。本来子宮内膜は月経期にはがれ落ちて排出されますが、内側以外に発生するとその血液は臓器内部にたまってしまいます。その状態が続くことで炎症をおこしたり癒着がおきたりするようですが、例えばそれが卵管に発生した場合卵管が詰まるなどの原因になってしまうようです。

子宮が原因のもの

卵子が無事に排卵し受精した場合、その受精卵は細胞分裂を繰り返しながら卵管を通って子宮内膜で着床するのが赤ちゃんができるまでの最初の流れです。でも、子宮に何かの問題がある場合は受精卵が着床しづらくなってしまうことがあるようです。子宮の何かしらの問題というのは沢山の原因があるようです。

子宮筋腫

子宮の内側に発生する良性の筋腫の事で発生する場所や症状がそれぞれ違うようです。妊娠の妨げにならない筋腫もあるようですが、子宮内膜に大きくできる筋腫は着床を妨げる原因になるようです。

子宮奇形

生まれつき子宮の形が正常ではなく、子宮内膜が着床出来る状態に整っていない場合があるようです。着床しても子宮が大きくなりづらいので、流産してしまうこともあるようです。

黄体機能不全

女性の子宮は黄体ホルモンの分泌により子宮内膜が厚くなり受精卵を迎える準備をしますが、この着床出来る準備が整っていない状態のことがあるようです。

子宮内膜癒着

流産の際の手術や人工妊娠中絶、帝王切開による内膜の炎症などによって起こる子宮内膜の炎症によって着床が上手くいかない場合があるようです。

頸管が原因のもの

排卵期には頸管粘液量(おりもの)が増えて精子が子宮内に進むのをサポートするのですが、この粘液の量が少ないと精子が中に入りづらくなり受精を妨げてしまうようです。
過去に子宮頸管の手術を受けたことがある人や、性感染症などによって子宮頸管部に炎症を起こしたことがあるという人は、子宮頸管粘液の分泌量が少なくなってしまう場合があるようです。

免疫が原因のもの

何らかの免疫の異常で精子を障害する抗体や精子の運動を止めてしまう抗体を作り出してしまい、運動性のいい精子でも通過を妨げてしまうことがあるようです。精子は奥に進むことができないので不妊につながることになってしまいます。また、精子が卵子まで届いたとしても精子の運動を止めてしまう抗体により、受精に至らないこともあるようです。

以上が女性側に認められる不妊の原因のようです。次に男性側に原因がある場合はどのようなものがあるか見ていきましょう。

男性側の不妊って何が原因なの?

男性側の理由としては射精される精液の中の精子の数が少ない、または運動率が低くなっている「造精機能障害」、勃起できずに挿入できない、または勃起はするが射精ができない「性機能障害」、精子は作られているけど精子の通り道が閉じてしまっていて精液中に精子がない「精路通過障害」の大きく3つに分けられるようです。それぞれの原因を詳しく見ていきましょう。

造精機能障害

精子をつくる機能が低下することによって、精子の運動力や精子の形が悪くなってしまうことです。そのため受精する力が低下してしまい不妊につながるといわれています。
男性側の不妊の原因で最も多いものとして「精索静脈瘤」があるようです。精索静脈瘤は精巣から心臓へ血液を戻す血管が逆流してしまうことで、精巣内の温度が上昇し精子をつくる機能が低下、結果不妊に繋がるようです。
このほかにも原因は多々あるようですが、不明な点も多くまだわかっていないことがあるようです。

精機能障害

性行為がうまくできないことによって射精が出来ず妊娠に至らないという原因もあります。
勃起が起こらない勃起障害(ED)は動脈硬化や糖尿病を一員とする神経・血管性のものと、最も多いのがストレスやプレッシャーによっておこる心因性のEDなんだそうです。仕事のストレスがある時や、妊活で性行為がプレッシャーに感じてしまうこともあるようです。

また射精障害は勃起して挿入は出来ても膣内で射精ができない「膣内射精障害」のほかにも、射精はできているものの精液が暴行に逆流してしまう逆光性射精や精液が出ない「無精液症」があるようです。

精路通過障害

精巣内では精子が作られているのに精液中に精子が出てこない場合の事をいいます。精管が生まれつき詰まっている場合や、精巣上体に炎症が起こったことによる癒着などがあるようです。

以上が男性側に認められる不妊の原因です。男女ともに独断では見つけることができないので検査で確かめる必要があります。

女性側の不妊症の検査って何するの?

ブライダルチェック

まずは一般的にほとんどの方が受ける検査から始まり、疾患が疑われた場合はさらに詳しい検査をうけることもあるようです。検査の前に基礎体温をつけることによって排卵が正しく行われているか、大まかな排卵日などがわかるので婦人体温計で基礎体温表をつけてみてください。

内診・経膣超音波検査

膣から超音波のプローブを挿入して子宮や卵巣を調べる検査の事です。子宮筋腫や卵巣のう腫、子宮内膜症などの異常がないかを確認します。また排卵前後にこの検査を行い、排卵がされているかなどを知ることもできるようです。

子宮卵管造影検査

卵管が詰まっていないか、子宮に奇形がないか、子宮筋腫がないかを調べることができる検査です。子宮内にシリコン製の細くて柔らかいカテーテルを使い、子宮口から子宮内へ造影剤を流し子宮の形や卵管の通過性を確認します。この検査をすることで卵管のつまりがなくなり、自然に妊娠することもあるようです。

フーナーテスト

頸管粘液を調べる検査です。頸管粘液は排卵日が近くなると子宮と膣を繋ぐ子宮頸管を満たす粘液の事です。排卵日直線に性行為を行い、その粘液の中に精子がどれくらいいるか、その精子の運動力が悪くないかなどを調べるようです。上記であげたように抗体の異常で精子の運動性を止めてしまっている場合があるので、検査を重ねて次の血液検査に進む場合もあります。

血液検査

血液を採取してホルモンの検査や糖尿病などの病気に関する検査を行うことができます。

男性側の不妊症の検査って何するの?

男性側の検査は精液の検査と泌尿器科の検査に分けられるようです。

精液検査

精液検査はほとんどの男性が受ける一般的な検査です。射精してもらった精子を採取して精子の数、かたち、運動性について調べたり、制🅂の機能性、染色体、遺伝子などを調べる検査もあるようです。
精液検査の結果は健康状態や疲労、ストレス、飲酒などのよって大きく変動する事があるので、1回だけではなく日にちを変えて何回か行うことがあるようです。

精巣検査

不妊症に関連する病気の有無や、勃起や射精などの性行為に関連する状況の確認、また診察や精巣の測定、触診・超音波検査などを行います。触診・超音波検査では、男性不妊の原因として頻度が高い精索静脈瘤の診断に有効な方法だそうです。

血液検査

男性ホルモンなどを調べて精液異常の原因を調べたり、勃起障害や射精障害がある場合に必要な検査のようです。精子数が少ない場合には染色体検査や遺伝子検査をすることもあるようです。

不妊治療にはどのような方法があるの?

基本的なすすめ方はまずは女性側は子宮や卵巣の病気、男性側は精巣の病気が見つかった場合、その治療をすることが第一歩です。治療を行い改善されたら不妊治療へと進みます。
不妊治療の進め方はカップルごとに異なります。一人一人年齢や体質も異なりますし、カップルの相性もあります。ここで取り上げる治療法や進め方はケースバイケースです。

タイミング療法

まず初めはタイミング療法といって、排卵日を予測して性行為をする方法です。妊娠できる期間はとても短いので、タイミングよく精子と卵子が出会えるように医師がサポートしてくれます。
基礎体温表をもとに排卵日が近づいたら受診し、卵巣の状態を調べて卵子の成長具合や子宮内膜の厚さ、子宮の入り口の粘膜をみて、性交渉のタイミングを調べていきます。
基本的には以上の検査のみですが、ホルモンバランスの乱れや排卵が不規則な場合には排卵誘発剤などの薬を服用することもあるようです。
タイミング療法は続けるほど妊娠率が上がるようですが、この周期を6周期くらい(女性の年齢が高い場合は3~4周期)続けても妊娠に至らない場合は、次のステップに進んでいきます。
タイミング療法は、精液検査やホルモン検査などの結果が良好で、出来れば自然に妊娠したいというカップルにおすすめの方法のようです。

人工授精

人工授精は採取した精子から運動率のいい精子だけを厳選し、専用の注射器を使って子宮の奥に注入する方法です。通常は膣の中で射精された精子が頸管を通って卵管までたどり着くプロセスがありますが、その距離を縮めることができるので精子と卵子が出会う確率を高めることができるようです。
男性側に精子が少ない、精子の運動率が低い、女性側に頸管粘液のトラブルがあり精子の動きが悪くなってしまうといった原因がある場合に有効な方法のようです。

体外受精

体外受精はあらかじめ精子と卵子を体外で受精させ、受精卵が育ったのを確認してから子宮に戻すという方法です。排卵誘発剤を用いるのが一般的だそうで、卵巣の機能や状態によって服用の仕方はそれぞれです。排卵誘発剤を使うことで、通常卵巣は1回の周期で1個の卵子が育つものを複数の卵子を排卵させることができるようです。
卵子を取る作業は超音波を見ながら膣から細い針を入れて行うので、今までの治療より体に負担が大きく不安だという声もよく聞きます。しかし、受精卵にして育っているのを確認してから子宮に戻すので、周期当たりの妊娠率は他の治療法に比べて高いというメリットがあるようです。

受精卵をつくる過程は採卵した卵子に精子をかける方法と、卵子一個に対し精子一匹を顕微鏡下で手助けする方法があります。受精卵が複数個育つ場合もあるので凍結保存するなど様々な方法があります。
体外受精は医療費も高く料金は施設によっても様々です。自治体によっては助成金が出るところもあるようです。

妊活のはじめ時は治療をどこまでするかにもよる

男女

前回の記事や今回の記事でも取り上げたように、年齢を重ねるごとに妊娠率は下がっていきます。いずれは子どもを欲しいと思っている女性は希望の人数や自然妊娠を望んでいるかで、妊活のはじめ時が絞られてきます。

自然妊娠で子どもが絶対欲しいと望んでいる女性は子ども一人なら32歳、子ども二人なら27歳で妊活を開始すべきというデータがあるようです。
体外受精をした場合でも子どもを絶対望んでいるなら子ども一人で36歳、子ども二人で31歳ということに。

子どもをどれだけ望んでいるか、何人欲しいか決まっている人は妊活を意識してパートナーと話し合ったり、独身の人はこれからのライフスタイルの計画を練ってみるのもいいかもしれませんね。

「不妊」や「不妊治療」のことまとめ

不妊の原因や治療について少しでも知ることができたでしょうか。この記事で取り上げた内容は、あくまでも一例です。まず定期的な検診を受けていないという方は市の検診サービスを利用するなどして自分の健康状態をチェックしましょう。婦人科検診も対象の女性は受けることができます。
普段から婦人科検診を受け、気になることがあればかかりつけの先生に相談できるといいですね。

Written by :
2021.07.05

関連記事

BACK