アンティーク食器でちょっと特別なおうち時間を
新型コロナウイルスの影響で長引く自粛生活。緊急事態宣言下の地域にお住いの方も多いことでしょう。
外出する機会が減りおうち時間が増えたため、家電やゲーム機器など家の中でも楽しく快適に過ごせるアイテムの売り上げは好調のようです。
また、梅酒づくりやぬか漬け、パン作りなどいつもは作らないような凝った料理に挑戦する人も多いですね。
おうちでご飯を食べることが増えたので、気分が上がるようなおしゃれな食器や少しこだわったやきものの食器などの需要も上がっているようです。
筆者もその中の一人で、今まではIKEAや100円ショップですませていたのですが、フランスのアンティーク食器に興味を持ち少しずつ集めたいなと思っているところです。フランスのアンティーク食器って「マリーアントワネット」や「お茶会」のイメージが強く、ちょっとエレガントすぎて好みじゃないかなと勝手なイメージを持っていました。でも、調べていくうちに今のトレンドに合う素敵なお皿があることを知りました。
平皿からスープ皿、デザート皿やボウルなどいろんな種類があり、同じ形でも柄が微妙に違ったりと、なかなか同じものが見つからない一点ものが魅力のアンティーク。作られている地域で特徴があったり、柄や刻印で年代がわかったりとコレクター欲もそそられます。詳しいことはまだまだ分かりませんが、有名どころのアンティーク食器をご紹介していきたいと思います。※登記時にswてくる画像はすべてイメージです。
目次
アンティークとは?定義や決まりがあるの?
アンティーク食器のほかにも、アンティーク家具、アンティーク雑貨、アンティークアクセサリーなどなど、アンティークという言葉はよく聞きますが、そもそもどういったものをアンティークと呼ぶのでしょうか。
一般的には100年以上の歴史があり、かつ美術的・芸術的価値あるものを指すようです。ただし、この「100年以上」というのはアメリカが定めた「100年以上の古い美術品、工芸品、手工芸品に輸入関税を課さない」という関税法が基準になっていて、ヨーロッパでは100年たっていないものでもアンティークと呼ばれたりしているようです。
アンティークとブロカントの違い
アンティーク食器を調べているとたびたび「ブロカント」という言葉も目にします。ブロカントとは美しいガラクタという意味をもち、モノを大切に長く使うフランスが語源の言葉。アンティークほど長い年月は経っていないけど、大切に使い続けられてきた古道具のことを指します。新品には出せないレトロな風合いや、アンティークに比べて買いやすい値段というのが魅力的ですね。
フランスアンティークを代表する人気の窯元
陶磁器を窯で焼いて作り出すところ、または人を「窯元(かまもと)」といいます。日本のやきものも場所によって石川県の九谷焼(くたにやき)、滋賀県の信楽焼(しがらきやき)、佐賀県の有田焼(ありたやき)などいろいろな窯元がありますよね。
フランスのアンティークにも様々な窯元があり、お皿の裏にある刻印でどこの窯元で作られたものかわかるようになっています。またその刻印で、作られた年代などもわかるものもあるようです。よく耳にする有名な窯元を調べてみたのでみていきましょう。
Digoin&Sarreguemines(ディゴワン&サルグミンヌ)
今から200年以上前の1784年にドイツとの国境に隣接するロレーヌ地域圏モゼル県のサルグミンヌという町で創業された陶磁器メーカーです。かのナポレオンも愛したと言われている品質の良さから、大きな発展を遂げたようですが、プロイセン帝国とフランス帝国との普仏戦争でフランスが敗れ、1870年にサルグミンヌはプロイセン領(ドイツ)となってしまい、陶器の販売に膨大な税金がかかるようになってしまいました。
そのことを理由に、1876年にドイツのUtzschneider&Cie(U&C Sarreguemines )、1879年にフランスのブルゴーニュ地方のディゴワンという小さな町にDigion et Sarregueminesを移し2つに会社を分割しました。
そのためサルグミンヌマークには年代やお皿の種類でマークが20種類以上あると言われていますが、刻印は「SARREGUEMINES(サルグミンヌ)」「DIGOIN&SARREGUEMINES(ディゴワン&サルグミンヌ)」「DIGOIN(ディゴワン)」の3種類が存在します。
2つの窯が合併されてもそれぞれ3つの刻印が使われていましたが、1970年以降はサルグミンヌのマークは使われなくなってしまい、1978年に買収後食器の生産は終了し2007年にディゴワン&サルグミンヌも廃業となりました。
このように、年代によって刻印が変わるためマークを見てどれくらいの年に作られたのか知ることができるのも面白いですよね。
サルグミンヌの人気デザイン
サルグミンヌの花リム
アイボリー色でぽってりとした厚みがあり、艶感も魅力の花リムと呼ばれるプレート皿です。どの年代でも作られていたサルグミンヌを代表するプレートで、スープ皿や、ケーキ皿、平皿、オーバルなどいろいろな形を見つけることができます。
サルグミンヌU&Cシリーズ
1880年~1910年というサルグミンヌの中でも古いと言われている時代に作られたお皿です。
FLORINE、VEGA、FLORE、JARDINIERE、PERLES、EPINEなど模様によって様々なシリーズが存在します。
Faïence de Moustiers(ムスティエ)
1668年、南フランスのプロヴァンス県にあるムスティエ・サント・マリと呼ばれる小さな村から生まれました。イタリアの修道士からたまたま陶芸技法を学び陶器産業が発展していきました。ルイ14世がスペインとの戦争を前に財政政策として金や銀の食器の使用を減らし陶器の食器で食べるようによう命じ、その食器の製造を命じられたのがこのムスティエ窯でした。
以後170年ほど続きますが、1870年ごろ時代の流行とともに一時閉窯。そののち再び窯が再開し、今も職人さんたちによってムスティエ焼きは作られています。
ムスティエ焼きには代表的な絵柄があり、一つ一つ職人さんによって手作業で書かれています。現在10以上のアトリエがあり、それぞれのアトリエのサインがお皿の裏に入っています。
ムスティエの代表的なデザインと人気デザイン
代表的な柄その1天国の鳥(Oiseau de paradis)
天国の鳥という空想上の鳥が描かれています。背景には青や黄色の植物が描かれ、お皿のフチは青色なのが特徴です。
代表的な柄その2花飾り(guirlande)
バラをモチーフに描かれたかわいらしい印象の絵柄。マリーアントワネットの要望により描かれたと言われています。
代表的な柄その3グロテスク(grotesque)
ムスティエに移り住んだスペイン人によって持ち込まれた絵柄で、人や動物が少し変わった見た目でえがかれています。絵柄は細かく、個人的ムスティエの代表的な絵柄の中で一番好きだなと思いました。
ムスティエの花リム
ムスティエにも花リムのプレートがあります。ムスティエの古いお皿には刻印がなく、唯一あるとしたら筆で書かれたようなバツの印。ただ、これも描かれてないものもあるようです。赤土のためうっすらピンクに見えることや、質感や欠けたところから見える土の色で判断するんだとか。これを見極めるにはかなり難しそう。
Gien(ジアン)
1821年、パリの南にある小さな町でうまれました。ジアンは近くにロワール川が流れており、豊かな自然と土壌、気候に恵まれていて陶器づくりには最適の場所でした。そんな土地で窯を開いたのはイギリス人の事業家トマス・エドム・フルム。現在に至るまでフランスを代表するテーブルウェアブランドとして世界中で有名です。
ジアンはほかのフランス各地の窯と比べると新しく、過去の優れたプレートのデザインにヒントを得て新しいシリーズを生み出しました。そのため、一目見てこれがジアン焼きだというデザインのものがなく、様々なモチーフやデザインを取り入れています。イギリスやイタリアだけでなく、日本や中国といった東洋の絵柄も取り入れています。
様々なデザインをオマージュして、手ごろな価格で提供したことから発展し、世界の博覧会や万国博覧会に出展。評判を聞きつけた世界の貴族や名家からから注文が入るようになりさらに人気の食器になりました。貴族や名家のオーダーは家紋入りの食器セットで、白地に青色の家紋を中心にあしらったお皿が素敵。コレクター心もくすぐられます。
ジアンの刻印
ジアンの刻印マークは1829年から使用され始めたようで、年代ごとにマークを変えていたようです。また表の絵柄が手書きのものには「peint main」、プリントのものには「fait main」と書かれていたり、絵を描いた人のイニシャルがあったりと、刻印やマークを見るだけでもおもしろそうですね。
ジアンの人気デザイン
先ほど書いた、家紋入りのお皿のようなブルーの食器が有名です。鮮やかなロイヤルブルーから、深みのあるナイトブルーまでさまざまなニュアンスのブルーの食器があり、さきほどの家紋入りのお皿や、ルーアン焼きからインスピレーションされた「ルーアン37」、深い青を使った、牡丹をモチーフとした「ピボアンブルー」シリーズなどが人気です。
フィレシリーズ
アンティークではないようなのですが、フランスのファイアンス焼きを代表する人気シリーズ。ファイアンス焼きとは、陶土からつくられた半透明ではなく白い素地の陶器のことで温かみがあります。花リムのような形のお皿に、白地に赤や青などのラインが入っており、職人が人る一つ手書きで仕上げていて素朴な風合いも魅力です。トーストやスイーツを載せるだけでもとてもおしゃれ&おいしそうに見えるので持っておきたいお皿です。
Creil et Montereau(クレイユモントロー)
1749年に創業したモントロー窯と1797年に陶器づくりを始めたクレイユ窯が1840年に合併し、クレイユモントローとなりました。
クレイユモントローのお皿は陶磁器の表面をおおう釉薬(ゆうやく)が緑や青いのが特徴的です。現地フランスでは柄物が人気のようですが、日本人には白い食器が人気。わたしも目を引かれたのは白い食器でした。
クレイユモントローの人気デザイン
八角形のオクトゴナルデザイン
日本で人気のクレイユモントローの食器は白くて無地のオクトゴナルと呼ばれる八角形のお皿です。クレイユモントローだけでなくフランスの各地で作られていたというオクトゴナルのお皿ですが、陶器の質やリムの幅などで違いがあるようです。わたしにはまだまだ違いがわかりませんが、いくつか違う地域のオクトゴナルを集めることができれば見比べて楽しみたいなと思います。
オクトゴナルの製造時期は1700年代半ばから1830年代、1830年代から1900年代初め、1900年代以降と大きく3つに分けられ、1900年代のものは復刻版や大量生産のものがあるようです。コレクションするなら古いものを集めてみたいですね。
素敵なアンティーク食器でおうち時間をたのしもう
素敵だなと思って詳しく知りたいと思ったことからこの記事を書き始めましたが、とても奥が深く刻印の違いや陶器の質、柄の特徴など真剣に勉強しないと理解しきれないなと思いました。
でも詳しい情報はわからなくても、お気に入りの一枚をみつけて、食事の時間が楽しくなるだけでも心が豊かになりますよね。フランスのアンティークのお皿はメルカリやアンティークを取り扱っているオンラインショップなどでも気軽に買うことができます。いつかは現地の蚤の市で見つけてみたいですね。
この記事でご紹介したフランスのアンティーク食器の種類以外にもまだまだ存在します。またご紹介したい焼き物があれば第2弾として記事を書きたいなと思っています。