「脇汗でTシャツにシミが・・・・・・」「私、ニオってないかな?」
夏の暑い季節、どうしても気になるのが汗問題。ニオイやベタつきは避けたい、なるべく汗をかかずに過ごしたいという方は多いと思います。しかし汗をかくことは体温調節やデトックスなどの役割があり、健康や美容のためには欠かせません。また、汗には良い汗と悪い汗があって、自らコントロールすることで良い汗をかけるようになることをご存じですか?
ここでは汗の種類やメカニズム、汗をコントロールして快適に過ごす方法などをご紹介いたします。
そもそも「汗」とは
汗とは
汗(あせ, Perspiration, Sweat)とは、哺乳類が皮膚の汗腺から分泌する液体である。およそ99%が水であるが、さまざまな溶解固形物(主に塩化物)も含む。o-クレゾール、p-クレゾール、および少量の尿素などの化学物質もしくは芳香化合物も含まれている。汗を分泌することを発汗という。(Wikipedia)
なぜ汗をかくのか
スポーツのときや、お風呂に入っているときだけでなく、寝ているとき、通勤・通学のとき、そして、オフィスや学校で座っているだけでも汗をかいています。そんな汗には「体温を一定に保つ」という大事な役割があります。体温が上がると汗が出るのは、汗が蒸発するときに身体の表面の熱を奪って、身体を冷やしてくれるからです。夏に道路に打ち水をすると涼しく感じるのと同じです。(大塚製薬)
汗の重要な役割は、「体温調節」。人は一定の体温を保った恒温動物である。心臓などの臓器の温度は核心温と呼ばれ、およそ37度に保たれていると言われている。これに対し、皮ふ表面や筋肉などの温度は外殻温と呼ばれ、体の内外の熱を入れかえる役割を果たしている。( HelC+)
汗には体の中の熱をコントロールするという大切な役割があります。私たちの体温が一定に保たれているのは、発汗によって体内で作り出される熱の量と体外に発散される熱の量のバランスが調整されているためです。また、汗の成分は99%が水分で、残りはミネラル・塩分・乳酸などの老廃物。汗腺は汗が出ると、水分だけを残して他の物質を再吸収して血液に戻す働きがあります。体を動かさず、汗をかかない生活をしていると、汗腺の機能が低下してしまうため、健康で生活するためには定期的に汗をかくことが大切です。
ちなみに、女性より男性の方が汗をかきやすい体質だそうです。
汗腺は2種類
汗は、皮膚にある汗腺という器官から分泌されています。この汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があり、それぞれに汗の性質や汗を分泌する仕組みが異なります。
エクリン腺
全身のほとんどに分布しており、頭皮、顔、首、脇、腕、手のひら…とあらゆるところから汗を出す汗腺で、主に皮膚表面に出るほぼ無色無臭の汗です。暑い時や運動をした時に体温調整のためにかく汗です。辛いものを食べた時にかく汗(味覚性発汗)もエクリン腺です。(ヨガジャーナルオンライン)
アポクリン腺
身体の限られた部分にあり、特に脇の下に多く分布しています。エクリン腺が皮膚表面にあるのに対し、アポクリン腺は毛根の開口部にあります。色は乳白色で、脂質やタンパク質などニオイの元となる成分が含まれています。もとはフェロモンの役割をしていたとも言われ、緊張した時や驚いた時に出る汗(精神性発汗)もエクリン腺(一部アポクリン腺)で、脇や手のひらなど局部的に出る汗です。(ヨガジャーナルオンライン)
汗のタイプは大きく分けて3つ
汗をかくのは、夏の暑さだけが原因ではありません。汗にはタイプがあり、汗をかく要因は大きく3つに分かれます。いずれも自分の意思ではコントロールすることはできません。
温熱性発汗
暑さを感じたときに誰もがかく汗
暑いときや運動をしたとき、体温を下げるために誰もがかく汗です。暑い時に激しい運動を行うと、1時間に2リットルほどの汗をかくと言われています。
汗をかく場所:手のひら、全身(足の裏以外)
精神性発汗
ドキドキしたときにかく汗
緊張したり、驚いたり、精神的な要因で出る汗で、「手に汗をかく」「冷や汗をかく」という言葉に関係するのはこのタイプです。自律神経の乱れが原因と考えられ、狭い範囲で短時間に発汗します。
汗をかく場所:手のひら、足の裏、ワキなど
味覚性発汗
辛い物や酸味の強いものなどを食べたときに反射的にかく汗
酸味が強くないものやチョコレートを食べた時でも味覚発汗が起こる可能性もあります。食べ終わると汗は出なくなります。
汗をかく場所:頭、顔(鼻の上やおでこなど)
「良い汗」とは
「良い汗」とは、身体に必要なミネラル成分を身体から排出しないためのろ過機能がしっかり働いた、限りなく水に近い汗です。小粒で、肌の表面ですぐに蒸発するため、少量でも体温を一定に保つことが可能。良い汗をかくと代謝が高まり、血行が促進したり、老廃物の回収や体内の浄化になります。また、皮脂の分泌も盛んになるため、美肌づくりにも役立ちます。
弱酸性で出てきた「良い汗」でも、長時間放置しておくとアンモニア臭に変わります。なるべくすぐシャワーで洗い流すのがベストですが、難しい場合は汗拭きシートを使ったり、下着の着替えをして肌を清潔に保つための対策しましましょう。
良い汗の特徴
・汗の粒が小さい
・サラサラ
・味がしない
・蒸発しやすい
・ニオイが少ない
・弱酸性
「悪い汗」とは
「悪い汗」は不純物が多く混じっており、大粒でなかなか蒸発しないため、雑菌の繁殖が起こりやすく、べたつきや嫌なニオイに繋がります。塩分が混じっているため、目に染みることも。また、悪い汗を大量にかくと体に必要なミネラル成分が血液から奪われてしまい、夏バテなどの慢性疲労や熱中症の原因ともなってしまいます。また、悪い汗は皮膚に残りやすく、肌にも良くありません。
悪い汗の特徴
・汗の粒が大きい
・ベタベタ・ネバネバ
・しょっぱい味がする
・蒸発しにくい
・出るとなかなか引かない
・ニオイが強い(雑菌が繁殖)
・アルカリ性
悪い汗の原因
・運動不足
・冷暖房の使い過ぎによる温度調節機能の低下
・偏った食生活(肉や脂っこいものの摂りすぎ)
・ストレスによる自律神経の乱れ
良い汗をかくために見直すべき生活習慣
良い汗をかくために見直すべき生活習慣をまとめました。
クーラーが効いた部屋で長時間過ごさない
汗をかきたくないからといって、クーラーが効いた部屋で長時間過ごしがちな人は、体温の調節機能が正常に働かなくなってしまう可能性が大。涼しい環境から暑い環境へ移動した際の温度差に体が対応しきれず、悪い汗をかきやすくなるばかりか、熱中症になりやすい身体になってしまいます。また、自律神経の働きが低下し、食欲減退や睡眠不足などの不調を招く恐れもあるため注意しましょう。
通気性の良い衣服を着る
汗をかいたら、すばやく蒸発させて体温を下げることが重要です。とくに夏場は、コットン(綿)やリネン(麻)、シルクなど、汗が蒸発しやすく通気性の良い衣服を着るようにしましょう。吸水速乾性のあるインナーもおすすめ。また、抗菌防臭機能付きのものなら、臭い対策にもなります。
昨今の生活に欠かせないマスクも、接触冷感素材タイプのものがあるので、暑い時期には取り入れてみましょう。
寝具選びにもこだわって、快適な睡眠環境を作る
夏の暑い季節は、衣服と同様に、寝具にもこだわって快適な睡眠環境を作りましょう。吸水速乾性のシーツやひんやり素材の敷パッド、夏用のタオルケットや天然素材(綿、麻、絹など)の掛け布団、水枕などがおすすめ。人が眠るときには、汗をかきやすいため、体温を下げる補助となる寝具選びがポイントになります。
ストレスを溜めない
ストレスを溜めると、交感神経が優位に働くため、暑くなくても汗をかいてしまいます(精神性発汗)。こまめに休息をとったり、自分に合った気分転換やリフレッシュをして、ストレスを溜めない生活を心がけましょう。
ニオイの原因になる食べ物は控える
腸内環境が悪いと体臭がキツくなり、汗の臭いも気になるようになります。ニオイの原因になる以下食品の食べすぎには注意しましょう。
動物性脂肪が多いものは控える
肉(牛・豚・鶏など)、肉の加工品(ハム、ベーコンなど)、乳製品(バター、マーガリン、ラード、チーズなど)、揚げ物、ジャンクフード、スナック菓子など動物性脂肪が多く含まれる食品を摂りすぎると、皮脂の分泌が過剰になって酸化が起き、体臭が強くなってしまいます。とはいえ、動物性脂肪は身体にとって必要な栄養素でもあるので、植物性脂肪を摂取するがおすすめです。
刺激の強い食べ物
辛い食べ物(キムチ、カレーなど)、ニオイの強い食品(ニンニク、ニラ、玉ねぎなど)、香辛料などの刺激の強い食べ物には発汗作用があるため、全身に汗をかきやすくなりますが、アポクリン腺が活性化して汗のニオイも強くなります。激辛料理はワキガ臭の元にもなりますので、食べすぎには注意しましょう。
お酒・アルコール類
飲酒した翌朝に大量の寝汗をかくことはありませんか?これは、アルコールが体内で代謝する際に発生する、「アセトアルデヒド」という成分によるもの。血液中にこのアセトアルデヒドが増加すると、汗、尿、呼気、皮膚などから体外に排出されるため、悪臭の原因になります。
良い汗をかくための汗腺の鍛え方
日頃のトレーニングによって汗の質をコントロールし、良い汗をかけるようになります。ここでは簡単にできる汗腺の鍛え方をご紹介いたします。
夏でもゆっくり湯船に浸かる
夏場は熱い湯船につからず、ついついシャワーで済ませてしまいがちですが、体は冷房で冷えていたりするため、しっかり湯船で体を温めることが大切。発汗が促進される、汗腺の機能も整えられます。38℃~40℃のぬるめのお湯に10~20分程度浸かると、手足の血管がしっかり開いて体温調整しやすくなり、デトックス効果やリラックス効果も高いと言われています。半身浴でも構いません。バスソルトやオイル、入浴剤などを入れると、発汗を促すことができて効果的です。
入浴後はエアコンの効いた部屋で涼まず、うちわで扇いだりして、汗が引くのを待ちましょう。
軽めの有酸素運動
軽めの有酸素運動を取り入れることで、身体の代謝機能が働き、発汗しやすい体づくりができます。ウォーキング、水泳、ストレッチやホットヨガなどがおすすめ。踏み台昇降運動や階段の上り下りなど、自宅でできる無理のない範囲でも構いません。1回につき20分以上、週に1、2回のペースで行うと効果的です。早朝や夕方など涼しい時間に行い、熱中症には十分気を付けましょう。また、運動する際は水分補給を忘れずに行ってください。
体内のリズムも整い、夏バテしにくい体を作ることもできます。
汗のニオイを抑える食品を摂る
脂質やたんぱく質の酸化を抑制する「抗酸化食品」、乳酸の生成を抑える「アルカリ性食品」、有害物質を排出して「腸内環境を整える食品」、これら3つの食品が汗のニオイを抑えるために効果的。なかでも意識して摂取したいおすすめの食品は以下の通りです。
ヨーグルト
発酵食品には体臭を抑える働きがありますが、なかでもヨーグルトは乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を増やす効果の高い食品。アンモニアなどの有害物質を発生させて汗のニオイの原因を作る悪玉菌を抑えて、腸内環境を整えてくれます。ただし、ヨーグルトには動物性タンパク質が含まれるため、摂取しすぎると逆に腸内の働きを低下させてしまう可能性があるためほどほどにしましょう。
梅干し
梅干しには抗菌作用と菌の増殖を抑える静菌作用があります。また、クエン酸が豊富に含まれており、汗のニオイの元になる乳酸を体外に排出する働きもあります。梅干し以外のクエン酸を含む食品では、柑橘類やお酢などがおすすめ。疲労回復の効果も期待できます。
緑茶
緑茶に含まれるカテキンやポリフェノールには、消臭・抗菌・殺菌作用があり、汗のニオイとなる成分を吸着する働きがあります。また、カテキンには抗酸化作用もあるので、皮脂の酸化予防にも繋がります。
海藻類
昆布、わかめ、めかぶ、ひじき、もずくなどの海藻類は、代謝を上げ、身体に溜まった老廃物を体外に排泄する効果があります。特に昆布は、体内にこびりついた水分を蒸発させるのに効果的です。
生姜
生姜は肉や魚の臭み消しとして料理に使われますが、体臭や汗のニオイも抑制してくれます。また、生姜に含まれているポリフェノールは口臭予防や歯周病予防にも効果的です。
夏野菜
トマト、キュウリ、スイカ、ゴーヤ、ナスなどの夏野菜はカリウムと水分を豊富に含み、利尿作用に優れています。また、尿と一緒に体にこもった熱を冷ます働きがあるため、汗が止まりにくい人におすすめです。
まとめ
日々の生活習慣の見直しやちょっとした工夫で、汗はコントロールできます。もうすぐ夏本番!サラサラの良い汗をかいて快適に健康で過ごせるように早めの対策をしましょう。
万が一、汗のかき方がひどく生活に影響が出るという場合には、多汗症の可能性も考えられます。自分で解決しようとせず、専門医や皮膚科を受診することをおすすめします。