今年こそ夏バテ防止!暑さに負けない体を作るための基礎知識や対策
梅雨が明けると、もうすぐ夏。暑さや湿気を感じるこの時期、「体がだるい」「疲れが取れない」といった、いわゆる「夏バテ」の症状に悩む人も少なくないのではないでしょうか。今年こそ、夏バテにならず元気に過ごしたい!そんな方のために、夏バテに関する基礎知識や予防対策、もしも夏バテになってしまった場合の対処法などをご紹介いたします。
「夏バテ」とは
「夏バテ」とは
夏バテ(なつバテ)とは夏の暑さによる自律神経系の乱れに起因して現れる様々な症状。暑気中り(しょきあたり)、暑さ負け、夏負けと呼ばれることもある。(Wikipedia)
夏バテとは、「体がだるい」「食欲がない」「疲れやすい」「寝不足」などといった夏の暑さによる体調不良の総称です。(大正製薬)
医学的に「夏バテ」という病気は存在しません。その症状は人によってさまざまで、夏の気候による体の不調をまとめて「夏バテ」と呼んでいます。
夏バテが起こる原因
どうして夏バテになるのでしょうか。その要因の一つとしてよく挙げられるのは、水分とビタミン、ミネラルの不足です。
暑いときに私たちの体は、汗をかいてそれが蒸発することで体温を下げようとします。汗には水分だけでなくビタミンやミネラルも含まれており、それらが排出されることで脱水状態になってしまいます。そんなときに冷蔵庫で冷やされた清涼飲料水ばかりを飲んでいると、胃腸が冷やされて消化能力が落ち、必要な栄養素が吸収できなくなることがあります。また、さっぱりした食事を選んでそうめんなど冷たい麺類ばかりを食べていると、ビタミンやミネラルが不足しがちです。こういった状態が夏バテの主な原因と、数十年前からいわれてきました。(オムロン ヘルスケア)
島国である日本ならではの高温多湿な環境や屋内外の寒暖差などによって、体温調節がうまく行えず、体に疲れが溜まってしまうことが夏バテの主な原因です。また、内臓や血管などの働きをコントロールする自律神経がオーバーヒートして、体内環境の調整が行えなくなってしまうことも体の不調へ繋がります。
また、夏バテになってしまうと、夏風邪にもかかりやすくなるため要注意です。
夏バテの主な症状
・疲労感
・倦怠感
・食欲不振
・気力低下
・イライラする
・カラダが熱っぽい・のぼせ
・頭痛
・立ちくらみ
・吐き気
・めまい
・下痢・便秘
・肌荒れ
・むくみ
夏バテになりやすい人
クーラーが効いた部屋で長時間過ごす人
クーラーが効いた部屋で長時間過ごしがちな人は、体温の調節機能が正常に働かなくなってしまう可能性が大。涼しい環境から暑い環境へ移動した際の温度差に体が対応しきれず、自律神経の働きが低下し、食欲減退や睡眠不足などの不調を招きやすくなります。
食欲減退、冷たい飲み物・食べ物の摂取が多い人
暑さによる食欲減退で、体に行き渡るはずの栄養が不足してしまいがちになることも夏バテの原因のひとつ。また、胃腸が働きやすい温度は36℃程度と言われていますが、夏場は冷たい飲み物や食べ物を好みがちなため、内臓を冷やして胃腸の負担が大きくなり、胃もたれや下痢などの症状が現れやすくなります。偏食は疲労回復のスピードも遅くさせます。
睡眠不足の人
暑さによってなかなか寝付けなかったり、起床時間より早く目覚めてしまったり、睡眠不足になってしまうと自律神経のバランスの乱れを引き起こします。十分な睡眠が確保できていないと、体力を回復することができません。また、ストレスも溜まって心の不調も現れてしまいます。
運動不足の人
クーラーの効いた室内から出られずダラダラしてしまう人は、運動不足に陥りがち。そのため、筋肉や身体の機能が低下し、発汗しにくくなってしまい、夏の暑さに対抗する体力が減衰して夏バテになります。
夏バテしないための対策
夏バテしないための対策をご紹介します。しっかり体調管理をして、暑さに負けない元気で健やかな体づくりをしましょう。
こまめに水分補給する
体内の水分が足りないと熱中症になったり、血流が悪くなり末梢まで血液が回らず体が冷えてしまいます。夏は気づかないうちに汗をかいていることも多く、また空調によって室内が乾燥しているため水分が失われがち。喉が乾いてからではなく、こまめに水分補給して脱水症状を起こさないよう心がけましょう。ただし、冷たいジュースや炭酸飲料ばかり飲んでいると、血糖値が上がり体に負担がかかってしまうため、常温の水やノンカフェインの麦茶などがおすすめです。アルコール類は利尿作用があり、水分補給にはならないので注意してください。
温度差、体の冷やし過ぎに注意する
屋外と室内の温度差が5度以上になると、自律神経が乱れやすいと言われています。エアコンの設定温度は28度程度が理想的ですが、大量の汗が出るような場合は、室内でも熱中症になるケースがあるため、無理をせずにそれよりも低い温度に設定してもよいでしょう。また、湿度が高くなると不快に感じるため、除湿モードもうまく取り入れてみてください。
外出先では温度や湿度の調整が難しいので、ひざかけや羽織物を持ち歩いたり、冷風に直接当たらないようにして、体を冷やさないよう気をつけましょう。温かいドリンクを飲むのもおすすめです。
シャワーで済ませず湯船につかる
夏場は熱い湯船につからず、ついついシャワーで済ませてしまいがち。しかし、体は冷房で冷えきっていたりするため、しっかり湯船で体を温めることは、新陳代謝を活性化させ、自律神経のバランスも整えるなど、健康効果が抜群。とくに38℃~40℃のぬるめのお湯に10~20分程度浸かると、手足の血管がしっかり開いて体温調整しやすくなり、デトックス効果やリラックス効果も高いと言われています。暑いときは、窓を開けて換気したり、水で絞ったタオルを頭に巻いたりしながら、決して無理しないようにしてください。お風呂から上がったあと、体温が少し下がってくるときに眠気が出てくるため、就寝の1~2時間前に入浴するのがおすすめです。日々の疲れはその日のうちに、バスタイムでリセットしましょう。
睡眠環境を整える
夏バテにならない体を作るためには、質の良い睡眠を十分にとり、体に疲れを溜めないための環境を整えることが重要です。夜間に十分確保できない場合は20分程度の昼寝で補うとよいでしょう。睡眠中は冷房を付けないという人もいますが、暑すぎて眠れない場合は、エアコンと扇風機をうまく使いながら温度を調整して無理の内容に過ごしてください。エアコンは2~3時間で切れるようにタイマーをセットしておくと、入眠を妨げられる心配がありません。また、夏場には、熱を逃しやすく通気性の良い素材の寝具を使うこともおすすめです。また、接触冷感素材のマット、夏用のタオルケットや天然素材(綿、麻、絹など)の風通しのよい肌掛け布団などを取り入れてみてください。
寝る直前にコンビニの照明を浴びたり、テレビやスマホの画面を見ると交感神経が活発になるので、読書や音楽を聴くなど眠りに入る静かな時間をつくるように心がけましょう。
運動習慣をつける
熱い時期には、外に出て運動するのが億劫になりがち。しかし、運動を習慣にすることで、身体の代謝機能が働いたり、体内のリズムも整い、夏バテしにくい体を作りことができます。起床後のラジオ体操、早朝や夕方など涼しい時間帯に行うラジオ体操ウォーキングやジョギング、自宅でできる筋トレやストレッチ、ヨガなどがおすすめ。運動することで食欲増進に繋がったり、疲労感から睡眠も取りやすくなります。くれぐれも、運動する際は水分補給を忘れずに行ってください。牛乳など糖分とたんぱく質を含む飲料を飲むのも、体内の血液量を増やすのに効果的です。
栄養バランスのよい食事
暑い日が続くと食欲がなくなり、のど越しの良い麺類や冷たい物ばかり食べてしまいがちですが、それでは栄養が偏ってしまいパワーが付きません。体力を消耗しやすい夏は、意識的に栄養価の高い食品をバランスよく食べるようにしましょう。なかでもタンパク質、ビタミン、ミネラルの摂取が夏バテ対策には欠かせません。体を冷やす作用のある食べ物(ナスやきゅうり、トマトなどの夏野菜や葉物野菜)は加熱調理をしたり、スパイスを加えるなどの工夫をして、胃腸を冷やさないように注意しましょう。
夏バテ防止におすすめの栄養素・食べ物
【たんぱく質】
たんぱく質は、血液や筋肉など、人間の体を作る上でとても重要な栄養素です。夏バテ解消には良質なたんぱく質が欠かせません。
多く含まれる食材:肉、魚、卵、納豆、豆腐、乳製品
【ビタミンB1】
ビタミンB1は、糖質を燃焼してエネルギーにするために必要な栄養素です。汗をかきやすい夏はビタミンB1が不足しがち。疲労回復に効果的だとされているため、意識的に摂取することがおすすめです。
多く含まれる食材:豚肉(とくにヒレ肉やモモ肉)、魚(タイ、カツオ、マグロ)、うなぎ、卵、大豆、枝豆、玄米、ほうれんそう、ごま、アボカド
【ビタミンC】
ビタミンCは、ストレスを軽減するホルモンを合成する働きのある栄養素です。夏場は暑さや疲労からホルモンが多く分泌されて、ビタミンCが不足しがちになります。
多く含まれる食材:じゃがいも、ピーマン、ブロッコリー、キウイ、グレープフルーツ
【ミネラル】
ミネラルは、疲労回復に効果的とされる栄養素です。汗をかくとミネラルが身体から排出されてしまうため、しっかり補給することがポイントです。
多く含まれる食材:海藻類、ホウレンソウ、小松菜、メロン、ぶどう、桃
【クエン酸】
クエン酸は、疲労物質を体の外に出す役割を持っているため、夏バテの体には欠かせない栄養素です。酸っぱい食べ物に多く含まれています。
多く含まれる食材:梅干し、お酢、ゆず、レモン、すだち
【アリシン】
アリシンは、ビタミンB₁をはじめとしたビタミンB群の吸収をサポートする働きを持つ栄養素です。
多く含まれる食材:たまねぎ、にんにく、ねぎ
【ムチン】
ムチンは、たんぱく質の吸収・消化を促してくれるほか、胃の粘膜を守る働きを持つ栄養素です。
多く含まれる食材:納豆、オクラ、長いも
もしも夏バテになってしまったら
疲労感、倦怠感、無気力、食欲不振、睡眠障害など、「夏バテかも?」と思うような身体の不調を感じた場合は、速やかな対応が重要です。放置すると自力での回復が困難になったり、大きな病気に繋がる恐れもあります。以下の対処方法を参考にしてみてください。
夏バテかも?と思った場合の対処方法
・食事の工夫/食欲がない場合は香辛料、生姜、辛味大根などを活用してみる。
・マッサージ/全身の血行をよくし、筋肉のコリをほぐす。
・ビタミン剤/ビタミンB1、B6、B12等が配合されたビタミン剤を服用する。
・栄養ドリンク/ビタミンや生薬(朝鮮人参等)を含むドリンク剤を飲む。
・医師の診察/症状が重い場合や長引く場合は医師に相談する。
まとめ
夏バテ知らずの身体を作るためには、日々の生活習慣を整えることが基本です。栄養バランスを考えた規則正しい食事や運動不足の解消、冷房や冷たい飲食物で体を冷やし過ぎないことなどに気を付けましょう。
コロナ禍で引きこもりがちな今年の夏は、夏バテしやすいとも言われていますので、今からあらかじめ体調管理しておくことをおすすめします。