最近よく耳にする〇〇ハラスメントという言葉。その中でもモラルハラスメントという言葉をご存知でしょうか。今年の初めテレビ番組の「しくじり先生 俺みたいになるな!」の番組内で芸人パンサー尾形さんの、妻に対するモラハラが話題になりました。
モラルハラスメントは恋人・夫婦間に限らず、職場の同僚や上司、親子や友達同士でも直面することがあります。
モラルハラスメントって?
モラハラとは、精神的な暴力や嫌がらせのことで、「人格否定」や「暴言」、「マウントを取る」といった行為をさしますが、これといって明確な基準はありません。身体的暴力であるDV(ドメスティックバイオレンス)と違い、目に見えないので、加害者・被害者ともにモラハラをしている・受けているという意識を抱きづらく、問題が深刻化するまで、人におかしいと指摘されるまで自覚がないという問題があります。
これをされればモラルハラスメントだという明確な基準はありませんが、言動や態度など総合して当てはまる場合、モラルハラスメントを疑ったほうがいいかもしれません。モラハラ彼氏・モラハラ夫が疑われる言動や行動にどのようなものがあるか見ていきましょう。
相手を否定し優位に立とうとする
「お前の事なんか誰も好きにならない」「こんな事もできないお前はおかしい」「ほんとに何もできないよね」「誰のおかげで生活できていると思っているんだ」「どうせ上手にできないんだから」「文句言うなら稼いで来い」などなど、相手の人格を否定したりコンプレックスをからかったりして相手の自信をなくさせ、自分を優位に見せマウントを取るような言動をします。喧嘩のシーンに限らず、普段の会話からもこのような言動が垣間見られます。
怒り出すと止まらない・止めない
一度怒り出すと、こちらの言い分を一切聞かずにまくしたてます。モラハラの特徴である「自分がいつも正しい」と思っているので、相手の気持ちや心情をくみ取らず正論でいいくるめます。
また感情がコントロールできず止まらないというのではなく、いう事を聞かせる・恐怖を与えるために相手が言う事を聞くまで、あえて怒鳴ることを「止めない」人もいます。
無視をする
喧嘩をして無視をしてしまう事はどんなカップルにもあり得ることですが、モラハラの無視は長期的に続きます。反論しても無視をされつづけた側は存在を否定されたように感じ、精神的にも追い詰められます。無視される状況を解決したいからと、発端になった喧嘩や問題点の解決をせず、下手に出てモラハラ側の機嫌を取ってしまうモラハラ被害者がほとんどです。それはモラハラ彼氏やモラハラ夫の思うつぼで、無視をすれば自分の思い通りになると知り、ますますエスカレートしていきます。
相手のせいにする
全く関係ない事でも無理やりこじつけて責任転嫁をし、自分の非を相手のせいにすることがあります。例えば、怒鳴ることに対して「お前が俺を怒らせるからだ」、デートに遅れた時も「お前が遅くまで連絡するから寝れなくなった」など、なんでもかんでも人のせいにしてきます。
態度や言葉で脅す
舌打ちやため息などをついたり無視をしたり、ドアを大きな音を立てて閉めたり態度で脅す場合もありますし、「誰がお金を稼いできていると思ってるんだ」などと言って金銭面で脅してくることもあります。
束縛する
記事の冒頭であげた芸人の尾形さんはこのケースに当てはまるかと思います。
妻に対しての嫉妬が激しく、妻の好きな男性バンドを禁止したり、宅配便の人と話すこと、Vネックやショートパンツを着ること、男性美容師にカットしてもらうことなど13の禁止事項を妻に守らせているとの事。初めのうちは束縛も愛かもと思い可愛く思えたとしても、そんな自由のない生活は面倒でしょうがありません。モラハラをする側は相手が自分の思い通りにならないと気が済まず、自分より下に見ている相手が主体的に行動することを嫌います。
すべて自分が正しいと思っている
自分がいつも正しく、間違っているのは相手だと考えており、やっかいなことに相手の間違いを正してあげている気でいます。相手の言い分を聞かず、どういった経緯でそう思ったかなど考えることもありません。相手の失敗だけを責め続け、問題解決のための話し合いができません。自分のミスを指摘されても、論点をずらして人のせいにしたり、過去の失敗を引き出し相手が悪いと自分を正当化します。
突然豹変する
結婚や出産のタイミングでモラハラを出してくる場合もあります。妻が仕事を辞め、自分が経済的に優位に立った時や、出産で簡単に別れを切り出せない状況など見計らったように正体を現します。
外面がいい
モラハラはプライドが高く、自己愛が強い傾向にあります。他人からどうみられるかをとても気にするので、はたからみると「いい人」になります。表面上は穏やかに過ごしている分、実はうちに鬱憤がたまっていて、自分に抵抗してこない相手に吐き出します。
まわりからみるといい彼氏、いい夫なので、不満や異変を周りに伝えても信じてもらえないことも少なくありません。
モラハラ夫・モラハラ彼氏の体験談
33歳・主婦
外面がとにかくよかった元夫。実家の家族にもいい顔をしていたので、モラハラを受けていたのは私と子供だけで、離婚の相談を周りにしても信じてもらえず、実家の母にはあなたの被害妄想じゃないの?と言われ辛かったです。
26歳・会社員
タイプで、あまり感情や思っていることを口に出さないタイプ。そんな相手なら彼氏側も落ち着いて話をすればいいのに、まくしたてて友達が謝るまで追いつめているようです。
30歳・接客業
同棲していた元カレがモラハラでした。自分が正しいと思っているので、家事の事で指摘やお願いをしても怒り出し、お前は前こうしてたとか、俺はお前が出来てなくても注意しないだの話をすり替えて絶対に意見を譲りません。後日怒鳴ってまくしたてた事には謝ってくるのですが、結局問題解決になっていませんよね。私の不満は溜まるばっかりだし、彼女を罵倒する人って彼氏としてどうなのか考えたら急激に冷めて速攻別れました。
28歳・事務職
「お前は顔だけで他は全然ダメ」だとか、別れを切り出しても「お前のこと好きになるやつなんか顔でしかみてない」などなど、酷いこと言われていましたね。今思えば、洗脳されていたのか、鵜呑みにして言い返さなかった事が疑問です。おかげさまで元カレと別れた後は、普通に幸せな恋愛できています。
31歳・主婦
一人目の育児で夜泣きもひどく、毎日眠くて体が限界だった時がありました。
たまには夜泣きの対応や休みの日に一日ゆっくりさせてほしいとお願いしたところ、「仕事も毎日大変で疲れている。家にいれるだけ楽でしょ」と言ってきました。自分の方が大変アピールをしたいのかわかりませんが、妻をいたわる気持ちはないのかと思いました。
モラハラ予備軍の特徴ってある?
外面が良く紳士的なため、恋愛に発展しやすいモラハラ男性。第一印象では見破りにくいので、どんなタイプがモラハラ彼氏になる傾向にあるか知っておくと将来役に立つかもしれません。
優しく人当たりがいい
冒頭でもあげましたが、外面がいいため誰からも好印象です。相手がいう事を聞いてくれる人だと認識するまで気を許さないため、付き合い始めの仲がいい時は本性が分からないかもしれません。付き合いが安定してきて、彼氏の欠点やなおしてほしい所を指摘したとき、ちょっとした喧嘩が起こったときなどにモラハラが出てくることも。誰にでも人当たりが良く好印象な男性には惹かれますが、職場や店員さんへの態度など、ふとした対応・態度も注意して見ておきましょう。
家庭環境に問題があった
ネグレクト状態で親から十分に愛情を受けなかった環境で育った人や、逆に過剰な愛情で育った人もモラハラになる可能性があると言われています。
例えば、愛情を幼少期に受けなかったことで、愛情の受け取り方がわからなかったり、そもそも愛情や尽くしてくれていることが伝わっていない場合があります。
過保護な環境で育った場合は、自分の言う事は何でも聞いてくれるという考えになり、成長の過程で気づくはずの「何でも思い通りになるわけではない」という事をわからずに大人になってしまいます。「自分と他人は違う考えを持っている」という他人との境界線があいまいで自分が一番正しいため、人の感情や痛みを想像できません。
おしゃべりが上手
頭の回転が速くおしゃべりが上手なので、そこが魅力的でもあるのですが、喧嘩になったときに相手の言い分を聞かずに自分の意見をまくしたてる可能性があります。
会話をしているときにひとまず自分の話を一通りする人や、こちらが話しているのにそれにかぶせて自分の意見を言ったりする人はモラハラの傾向があるかもしれません。
自分に自信がある
プライドが高く自分を特別な人間と思っています。人当たりがいいため周りの人間も意見を聞きやすい状況にあり、自分の思い通りに動かすことができるので自分が正しいと思ってしまいます。
仕事やスポーツなどで成功した話を、全部自分の手柄のように話していないか注意して聞いておくと何か気づくことがあるかもしれません。
モラハラを受けるとどうなる?
自分に自信がなくなる
人格や容姿を否定されるので自己肯定感が下がり、次第に自分は価値のない人間だ、失敗も上手くいかないのも自分が全部悪い、私と付き合ってくれるのはこの人しかいない、別れても次にいい人なんか見つからない、と思うようになってしまいます。
ストレスにより脳にダメージをうける
ストレス状態が慢性的に続くと脳の前頭前野に影響を及ぼし、うつ病等の心の病にかかってしまう事があります。またやる気が起きず無気力になり、何も楽しくない、生きていく意味が分からないといった感情になることも。無気力状態ゆえに、モラルハラスメントを受けている環境から抜け出すという考えや気力がなくなるという悪循環におちいってしまいます。
モラハラの被害者になりやすい人の特徴
モラハラ気質のある人は誰にでもモラハラをするわけではなく、言うことを聞いてくれそうな人、優しそうな人をターゲットにしてきます。さらに被害者側の女性が態度や行動によって相手のモラハラな部分を引き出してしまう事もあるんだとか。どのような特徴があるのか見ていきましょう。
自分に自信がない
モラハラの被害者になりやすい女性の特徴として「自分に自信がない」事があげられます。
自分に自信がないので「自分を好きだと求めてくれる人」を選ぼうとし、相手に尽くすこと、周りの期待に応えることで存在価値を見出す傾向にあります。
「何をやってもダメ」「いつになったらちゃんとできるの?」といったモラハラ発言をされ続けても自分が悪いと思ってしまい、相手に受け入れてもらえるよう尽くしてしまいます。さらにそんなあなたを見てコントロールできると感じたモラハラ男は、どんどんエスカレートしてくるでしょう。
優しい
ケンカやもめごとが苦手で、怒ることが苦手だという人はモラハラに対象になりがちです。ケンカの経験もあまりないので、自分の意見や反論をとっさに答えることができず、口達者なモラハラ男に言いくるめられてしまいます。
理不尽な発言や否定的な言葉を言われても、「自分の言い方が悪かったのかな?」と自分の非を気にしたり、「仕事忙しいもんな。お風呂ためてご飯も好きなものつくってあげよう」と優しく対応してしまう事も。
一人溜め込んでしまう
自分にも悪いところがあるのかも…と思いがちなモラハラを受けやすい人は、どんどん不満を貯めこんでしまいがち。周りに相談するのも苦手で、愚痴を上手に話すことができないという人も。
また、外面がいいモラハラ男なため、周りに相談しても「あなたの思い違いじゃない?」「そんな人には見えないけど…」といった意見を言われることもあり、余計に自分の非を気にしてしまう事もあります。
もし今までにモラハラやDVの被害にあったことがあるという女性は、自分で引き付ける特徴を持っていないかを確認してみましょう。といっても、あなたがモラハラ男を引き付ける特徴を持っていたとはいえ、悪いのはあなたではありません。
モラハラ夫・モラハラ彼氏への対処法
モラハラが発覚した時点で、できれば「別れ」を決めることをおすすめしますが、一緒にいる間どう対処したらいいのでしょうか。
モラハラを受けている人の傾向として、相手が怒らないように機嫌をとったり、うまく丸め込まれたりとモラハラの言いなりになりがちです。でもその対応はさらにモラハラをエスカレートさせる原因に。
モラハラにはきっぱりと嫌なことは嫌、機嫌が悪いそぶりをされても下手にでないという毅然とした態度が必要です。口が達者なモラハラ夫・彼氏なのでうまく流されてしまうかもしれませんが、ゆっくりでいいので自分の意志をしっかりと伝えていきましょう。言葉にうまく出せない人は文章にまとめて手紙やメッセージで送るのもありかもしれません。
もし別れを決めたという場合も「何を言われても別れる」という強い意志が必要です。モラハラをする側は自分がモラハラだという自覚がありません。モラハラだから別れると言っても素直に聞き入れず、一時的に下手に出て謝ってきたり、あなたじゃないとダメだと言って引き止めようとします。
または、あえて自分に非があるように伝えるという手もあります。
「あなたに私はもったいないよ。もっと素敵な女性がいるはずだから別れよう」「いつも失敗ばっかりでごめんね。こんなにあなたを怒らせてこれ以上付き合わせるのは悪いから別れよう」と下手に出て別れを切り出す方法です。先ほども言いましたが、モラハラは無自覚でモラハラ発言や行動をしています。「そういう意味で言ってない」「別れようと思ったわけじゃない」と別れを引きとめようとしますが、「ううん、あなたの言う通り私が悪いと思う、今までごめんね。別れよう。」という姿勢で挑むと穏便に別れやすいでしょう。
また、外面がいいため周りの人からの「いい人なのになんで?」といった意見に惑わされないようにしましょう。モラハラ男や周りの意見に流されて関係を戻すといつかまたモラハラ行動を繰り返すでしょうし、やっぱり彼女は自分から離れられないんだなと思ってモラハラがエスカレートする事もあります。
まとめ
優しくて楽しくて、周りからの評判もいい夫や彼氏。私が不満さえ言わなければ円満にやっていけるし、我慢すれば…。といった状態で関係を続けていくことはおすすめしません。記事内でもあげた通り、心の病気にかかる可能性も高く、モラルハラスメントは将来的にDVに発展することもありえます。話し合いができない場合は相談窓口もありますし、話し合わず逃げるというのも一つの手です。
あなたの事を否定したり、反論できないほど怒鳴る人と、本当にこの先一緒にいたいんだろうかと冷静に考えてみてくださいね。