心も体も健康に。ストレスと上手く付き合っていく方法
仕事や家庭、人間関係、それに加えて新型コロナウイルス……。現代社会はストレス社会ともいわれ、日常生活の中で誰もがストレスを感じています。ストレスは目に見えませんが、放置しておくと、心だけでなく体の調子も崩してしまいます。
ここではストレスとは何なのか、ストレスを溜めない考え方や解消方法などをご紹介いたします。
ストレスとは
ストレス【stress】
《生体にひずみの生じた状態の意》寒冷・外傷・精神的ショックなどによって起こる精神的緊張や生体内の非特異的な防衛反応。また、その要因となる刺激や状況。(デジタル大辞泉(小学館))
そもそもストレスとは、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことです。 外部からの刺激には、天候や騒音などの環境的要因、病気や睡眠不足などの身体的要因、不安や悩みなど心理的な要因、そして人間関係がうまくいかない、仕事が忙しいなどの社会的要因があります。(厚生労働省)
「ストレス」と一口に言っても、種類はさまざま。人間関係、仕事、結婚、妊娠、出産・引越し、暑さ、寒さ、騒音、空腹、不眠、疲労、けがなど、私たちは気付かないうちに、さまざまな刺激を受け、それに適応しようと努力しています。ストレスは必ずしも悪いものではありません。例えば、大舞台直前の緊張感をプレッシャーと感じる人もいれば、モチベーションに変える人もいます。同じストレスでも、受ける人の物事の感じ方やとらえ方によって心身への影響は異なるのです。
ストレスのサイン
知らず知らずのうちに溜まっていくストレスに気づくためには、心身の状態や行動の変化に現れるサインを見逃さないことが大切です。これらの全てがストレスのサインとは言えませんが、慢性的にならないよう早めにストレスの解消・対策を行いましょう。
心理面 …… イライラ、抑うつ、不安、悲しみ、緊張など
身体面 …… 動悸、頭痛、肩こり、胃痛、食欲低下、不眠など
行動面 …… たばこやお酒の増加、集中力低下、不眠など
ストレスを感じやすい人・感じにくい人
ストレスを感じやすい人、反対に感じにくい人は、どんな違いがあるのでしょうか。タイプ別の傾向をまとめました。
ストレスを感じやすい人
type1:完璧主義・几帳面
・責任感が強い
・妥協できない
・常に結果を求める
・他人を頼れない
・細かいことを気にする
・こだわりが強い
もっともストレスを感じやすいと言われているのが、この「完璧主義・几帳面タイプ」。自分に与えられた仕事や役割を真面目に遂行することができ、周囲からの信頼も高く、誰からも慕われる存在。しかし、「裏切りたくない」「結果を出したい」と過度に自分を追い込んでしまったり、冗談が通じないところもあるので、精神的に疲れやすくなります。
type2:短気・頑固
・他人に厳しい
・他人のミスをなかなか許せない
・常に時間に追われている
・食事のスピードが早い
・待つことやじっとしていることが苦手
・イライラしがち
自分の思い通りにならないと気が済まない、自己中心的な「短気・頑固タイプ」。タイムマネジメントが上手い一方で、他人に対して厳しくなりがちです。自分の意見をはっきり言いすぎてしまうため、相手とのリズムが狂いがち。人間関係を築きにくく、いつも漠然とした焦りや不安などを抱えています。
type3:内向的・おとなしい
・不平や不満を言わない
・感情を抑えがち
・嫌なことでもはっきり嫌と言えない
・自分のことより他の人を優先する
・何もしていなくても罪悪感を感じることが多い
・自己嫌悪に陥りやすい
「内向的・おとなしいタイプ」はいわゆる「いい人」「八方美人」で、本音や愚痴を吐き出すのが上手くありません。また、周りの空気にも敏感で、何でも気にしすぎる傾向があるため、空気が悪くなると自分のせいだと思い込んでしまうことも。我慢強さはありますが、知らず知らずのうちに心の奥底にストレスが溜まりやすいです。
ストレスを感じにくい人
・自然体でいられる
・他人は他人、自分は自分と割り切っている
・物事を楽観的に捉えられる
・気持ちの切り替えが早い
・完璧・完全を求めない
・没頭できる趣味がある
・プライベートが充実している
・視野が広い
ストレスを感じにくい人は、「人からどう見られているか」「どう評価されているか」をあまり気にせず、自己評価の中で生きています。また、失敗したり嫌なことがあっても、気持ちをすぐに切り替えるポジティブさを持ち合わせているのも特徴。思考や行動がシンプルで、オン・オフの切り替えが上手いのもストレスに強い人の傾向です。
ストレスを溜めない考え方
人によってストレスの原因はさまざまで、生きている限り、ある程度のストレスは避けられません。しかし、考え方や心構えを少し変えるだけで、ストレスを軽減することもできるのです。
何事もポジティブ思考で
ストレスを溜めないために、もっとも重要なポイントは「ポジティブ思考」。消極的、悲観的にばかり物事を捉えていると、視野が狭くなり、ますますストレスから抜け出せなくなってしまいます。楽観的過ぎるのはよくありませんが、身の周りにある「自分が楽しいと思えること」「好きなこと」を積極的に見つけながら、前向きに生活することでストレスも発散されます。また、ポジティブ志向でいると、自分自身が明るい状態でいられるので、周囲にもどんどん良い影響を与え、円滑で良好な人間関係を築いていくことができます。
「なんとかなるさ!」の精神で
何をやってもうまくいかないこともあります。そんなときは、自分を追い込んだり、悪い方向に考えたりせず、「こんなこともある」「まあいいか」と、「なんとかなるさ!」の精神で一度諦めてみることも大切です。完璧を求めるのは決して悪いことではありませんが、時には目標のハードルを少し下げて、ありのままの自分を受け入れてみましょう。自分のダメな部分を受け入れられる人は、周りの人のダメな部分も許すことができます。そうすれば、他人に振り回されることも少なくなるのです。
細かいことは気にしない
小さいことや細かいことを気にしだすと、無限ループに陥りやすくなります。ストレスを溜めない人は、気になる点があったとしても、全体に影響がなさそうであれば、細部はほどよく受け流すことができます。ときには「適当さ」も必要。完璧主義にならず、臨機応変に自分の中で妥協できるポイントを見つける習慣をつけることがストレスを溜めないポイントです。
強い自信を持つ
何か行動するとき、「きっとできる」「大丈夫」といった自己暗示をかけ、強い自信を持つことも重要です。「もしかすると失敗するかも……」という悲観的な考え方ばかりをするのではなく、自分が今まで努力してきたことを思い出しながら、成功するイメージを持ちましょう。ストレスやプレッシャーに強いマインドは、あらゆる局面で役立つはずです。
発想の転換をする
自分の固定観念が、ストレスを生む原因になることがあります。「〇〇であるべき」「〇〇しなくてはいけない」と最初から決め付けてしまっては、物事の本質が見えづらくなったり、自分が追い詰められているような気持ちになって息苦しくなってしまいます。ときに考え方や物事の視点を変えたり、客観的に捉えて、発想の転換をしてみましょう。
困ったときは誰かに頼ってみる
自分一人ではどうにもならないこともあります。何かに困ったり悩んだりしたときは、周囲に意見やアドバイスを求めることもおすすめ。誰かに話を聞いてもらうだけで気持ちが楽になったり、新しい視点からの解決策が見つかることもあります。仕事面でも、適度に周囲のサポートを求めることは作業効率化にも繫がるでしょう。
今すぐできる!ストレス解消法
誰でも今すぐできる、簡単なストレス解消法をご紹介いたします。
散歩・ウォーキングをする
適度な運動は、一番のストレス解消法。汗をかくと、「幸せホルモン」とも呼ばれる「セロトニン」が分泌され、ストレスホルモンを抑えてくれます。また、五感も刺激されてリラックス効果が得られます。外出も厳しいコロナ禍ですが、家の階段を上り下りしたり、会社帰りの一駅を歩いたり、身近なところからはじめてみるとよいでしょう。頭を空っぽにしたいときにも、散歩・ウォーキングはおすすめ。
ストレッチ・筋トレに挑戦する
人間の身体はストレスを感じていると、体が緊張し、筋肉が硬直しています。ストレッチや筋トレも、散歩同様に、セロトニンの分泌が促進され、ストレスの解消の効果大。寝る前に行うことで、リラックス効果も期待できます。凝り固まった肩回りや背中の筋肉を伸ばすことで、肩こりや腰痛の解消、血流の改善にも繫がります。
ゆっくりお風呂に入る
忙しいからといってシャワーだけで簡単に済ませずに、毎日できるだけ湯船に浸かる習慣をつけましょう。入浴はデトックス効果だけでなく、新陳代謝を活性化させ、自律神経のバランスも整えるなど、健康効果が抜群。とくに就寝の1~2時間前、38℃~40℃のぬるめのお湯に10~20分程度浸かるとリラックス効果が高いと言われています。日々の疲れはその日のうちに、バスタイムでリセットしましょう。
十分に睡眠を取る
睡眠不足は生理的ストレスのひとつ。睡眠の質が下がると、睡眠不足へとつながって、それがさらなるストレスを生みだしてしまうのです。また、不規則な生活は人の心をどんよりとさせる傾向にもありますので、十分に睡眠を取りましょう。睡眠時間だけに捉われるのではなく、寝具、インテリア、室内の温度・湿度など、睡眠環境を整え、質の良い睡眠を追求することも大切です。
(参考記事:人生の3分の1は睡眠時間!快眠環境を整えましょう)
休憩・余暇を取る
スケジュールが埋まっていないと不安になってしまったり、休憩や余暇を取ることに対して罪悪感を覚えるという人もいると思います。しかし、ストレスを溜めないためには、定期的に適度な休憩や余暇で息抜きしつつ、心をリラックスさせることが大切です。たまには予定なしの「何もしない日」を作るのもよいでしょう。
バランスのとれた食事をする
ストレス発散として暴飲暴食してしまい、かえってストレスになってしまった経験のある人も少なくないはず。規則正しく、栄養バランスを考えた食事をとることは、健康な体をつくるだけではなく、ストレスへの抵抗力も高めます。以下を参考にして、日々の食生活に「ストレス解消につながる栄養素」を取り入れてみましょう。
ちなみに、ストレスを感じているときに、カフェインを含む飲み物や甘い物を採りすぎると新たなストレスを生む可能性があるので要注意です。
ビタミンB1
神経の働きを正常にする。不足すると心身ともに疲れやすくなる。
多く含まれる食材:豚モモ肉やヒレ肉(赤身)、カツオ、ブリ、豆腐・納豆など大豆製品、豆類、玄米など
ビタミンC
心身を安定させ、ストレスに対する抵抗力を高める
多く含まれる食材:ブロッコリー、小松菜、芽キャベツ、ニガウリ、イチゴ、キウイフルーツ、柿など
ビタミンC
心身を安定させ、ストレスに対する抵抗力を高める
多く含まれる食材:ブロッコリー、小松菜、芽キャベツ、ニガウリ、イチゴ、キウイフルーツ、柿など
ビタミンD
カルシウムの吸収率を高める
多く含まれる食材:さけ、かれい、さば、しいたけ、きくらげなど
ビタミンA
ストレスに対する抵抗力を高める。
多く含まれる食材:レバー類、ウナギ、アナゴ、チーズ、ニンジン、春菊、モロヘイヤ、小松菜など
ビタミンE
老化を防止し、血液の循環を促して、自律神経をコントロールする
多く含まれる食材:タラコ、スジコ、ウナギ、ブリ、アーモンド、カボチャ、アボカド、抹茶など
カルシウム
イライラ、怒りっぽい、不眠などの興奮を抑える
多く含まれる食材:イワシ、サクラエビ、シラス干し、牛乳、チーズ、豆腐、切り干し大根など
マグネシウム
体の機能の維持や調節に不可欠なミネラル
多く含まれる食材:青魚、海藻類、牛乳、ピーナッツ、アーモンド、ゴマ、豆腐、小松菜など
音楽を聞く
音楽には、自律神経を整え、脳を活性化して感情をコントロールする効果があります。また、人の精神的な部分に働きかけ、心を穏やかにしてくれます。
音楽と一口に言っても、ポップス、ロック、レゲエ、ヒップホップ・ジャズ、クラシックなど、ジャンルはさまざま。そのときの気分に合わせて、自分の好きな音楽を聴くことがストレス解消につながります。睡眠前のお供に音楽を流してみるのもよいでしょう。
深呼吸する
ちょっとした空き時間に簡単にできるストレス発散法として、深呼吸があります。人は考え過ぎたり、緊張状態にあると、呼吸が浅くなりがち。こまめに深呼吸をすることで、リラックス状態を作り出すことができます。とくに仕事中に深呼吸すると、落ち着きが増し、集中力がアップするのですすめ。下腹部に手を置いて、「ゆっくり鼻から息を吸い、ゆっくり口から息を吐く」だけです。口から息を吐き出すときには、「スーッ」と声を出しながら行うと効果倍増。深呼吸が難しい人は、ため息から始めても構いません。
声を出して笑う
声を出して笑うことで、自然と明るい気分になれる気がしませんか?笑えば笑うほど、体調が整うというデータもあるそうです。笑いは免疫力を上げ、脳を活性化させ、自律神経を整える効果があります。バラエティテレビやコメディ映画を鑑賞したり、友人との会話を楽しみながら笑いましょう。笑いはほうれい線や顔のたるみ予防にもつながります。
思い切り泣く
笑うこと同様、泣くことにもストレス解消に効果があるということが科学的に証明されています。涙を流すということは、ストレスから解放されて、心が深くリラックスしている証拠。感動系の映画やドキュメンタリー番組を見たり、「涙活イベント」に参加して、感情を吐き出してみるのもよいでしょう。コロナ疲れ解消にもなります。
趣味に打ち込む
打ち込める趣味や生きがいがあり、プライベートが充実している人はストレスを感じにくい傾向があるようです。家庭菜園、お菓子作り、ギター、手芸、アート、ヨガ、ジグソーパズルなど何でも構いません。昨今ではオンラインではじめられる語学や習い事もたくさんあります。ステイホームで一人で過ごす時間が長い今日この頃、毎日の仕事や家事から一旦離れて、心をリフレッシュさせる趣味を見つけてみましょう。
まとめ
何かしらのストレスは抱えていて当たり前。生きていくうえで、ストレスとは上手く付き合っていくしかないのです。
そのためには、自分のストレスや不調に気づいたときには、十分に休息をとり、気分転換をするなど、早めにセルフケアをするようにしましょう。