若くても老眼に!?急増する現代病「スマホ老眼」について
現代人にとって、スマートフォンや携帯電話などの電子機器は生活必需品。新型コロナウイルスの感染拡大によって、おうち時間が増えると同時に、それらを使用する時間も増加傾向にあります。
そんな中で急増しているのが「スマホ老眼」。年配者ではなく、20代から40代の若い人が多く発症する「老眼」であり、現代病のひとつです。
ここではスマホ老眼の症状や原因、予防対策について詳しくご紹介いたします。
スマホ老眼とは
「スマホ老眼」とは
スマホ老眼は、至近距離でスマートフォンなどを見続けることにより、毛様体筋が凝り固まって、ピント調節がうまくできなくなってしまった状態です。(参天製薬メディカルシリーズ)
スマホを長時間見続けるのは水晶体を膨らませ続けるので疲れますし、近くにピントが合ったままになってしまい急には戻らなくなることがあります。こういうとき、スマホから顔をあげると、一瞬遠くが見づらいと感じるのです。また、こうした「調節緊張」の状態が続くと調節力そのものの低下により、近くも見づらくなることが懸念されます。これが『スマホ老眼』と呼ばれる症状です。(メガネスーパー)
スマホ老眼とは、その名の通りスマートフォンを長時間使用することで起こる目のトラブルのこと。別称は仮性近視。身体にも影響を及ぼすほど深刻化すると、「VDT(Visual Display Terminals)症候群」と呼ばれます。
スマホはディスプレイや文字が小さく、目との距離も近め、また目に入ってくる情報量も多いため、印刷物より目を酷使します。その結果、目が疲れやすくなったり、何かを見たときにピントが合いづらくなってしまったり、近視のような症状が出ることがあります。これらの症状を放置しておくと視力低下の原因になったり、自律神経が乱れてしまい、肩こり、腰痛、頭痛、手の痺れ、めまいなどに引き起こす恐れがあるので要注意です。
スマホの使用で目の疲れを感じたことはありますか?
アンドモアは、10~40代の女性30名に「スマホの使用で目の疲れを感じたことはありますか?」というアンケート調査を実施。その結果、全員が「ある」と回答しました。
・自宅で過ごす時間が増えて、朝から夜までスマホを見続けてることがあります。夕方ぐらいに画面がぼやけてきて、くらくらすることがありました。(20代/会社事務)
・仕事でもプライベートでもiphoneが欠かせないため、目が乾きやすく、目薬の消費量がすごいです。(20代/販売員)
・仕事でもプライベートでもiphoneが欠かせないため、目が乾きやすく、目薬の消費量がすごいです。(30代/営業事務)
「老眼」と「スマホ老眼」の違い
年齢とともに水晶体はかたくなり、毛様体小帯がゆるんでも水晶体の厚さを変えることができなくなってきます。そのため、近くのものにピントを合わせることができなくなるのが、老眼です。(公益社団法人 日本眼科医会)
老眼とは加齢により目のピント調節機能が衰え、手元のモノが見えにくくなる状態のことです。老視ともよばれます。(アキュビュー)
老眼は40代くらいからはじまる加齢現象のひとつですが、昨今は20〜30代をはじめ、10代にも「ピントが合いづらい」「視野がぼやける」「目が疲れる」といった老眼に似た症状がみられるようになりました。これが「スマホ老眼」。スマホ老眼になるかどうかは、年齢はあまり関係なく、どれだけスマホなどで目に負担をかけるかによると言えるでしょう。また、スマホ老眼は一時的な症状であり、軽度の場合は一日ぐっすり寝ると回復していることが多いのも特徴です。
あなたは大丈夫?スマホ老眼チェック
以下に当てはまる項目が多いほど、スマホ老眼の疑いが大きくなります。
- パソコン・スマホ・タブレットなどを1日4時間以上使う
- スマホを見るときに目が近い(30cm以内)
- 小さな文字が見づらい
- テレビの字幕が見づらい
- スマホや本を読むとき、少し遠ざけるとよく見える
- 遠くを見た後で近くを見ると見えにくい
- 近くを見た後で遠くを見ると見えにくい
- 夕方以降見づらい
- 週末見づらい
- 外灯や車のヘッドライトが明るく感じる
- 目の奥が痛い
- 眼が乾きやすい・涙目になる
- 休んでも翌日、目や体の疲れが取れない
- 集中力が続かない
スマホ老眼の原因
スマホによる原因
目には水晶体と呼ばれるレンズがあり、それを調整する筋肉を毛様体筋(※)といいます。この毛様体筋が凝り固まってしまい、一時的にピント調節がうまくできなくなることがスマホ老眼の主な原因。人間の目は遠くを見るようにできていて、近くを見ると疲れやすい構造になっており、スマホを「至近距離で見る」「小さい画面を見る」「暗い場所で見る」「細かい動きを追う」といった行為が、とくに毛様体筋の疲労に繋がるといわれています。
※毛様体筋 …… 毛様体筋(もうようたいきん、英: ciliary muscle)とは、内眼筋に含まれる水晶体を調節してピントを合わせる筋肉である。 筋肉自体は毛様体の中にある。 動眼神経に支配される。 光を得た水晶体の厚みを変える。(wikipedia)
スマホ以外の原因
スマホ老眼とはいいますが、その原因はスマホ以外にもあります。パソコン、タブレット、携帯ゲーム機、テレビなどからも、紫外線に近いエネルギーをもつブルーライトが多く発せられており、目に影響を及ぼす可能性があります。現代社会において、ブルーライトを浴びない生活は難しいですが、長時間目をさらすとスマホ老眼を引き起こすことがあるので、モニターの明るさ調整が必須。また、ブルーライトを多く含むスマホやタブレットを就寝前に見ると、体内時計が乱れて睡眠不足やあらゆる不調を招いてしまうこともあるので要注意です。
スマホ老眼にならないために
スマホを長時間使用しない
スマホの画面など近距離ばかり集中して見ていると、目が疲れてしまいます。まばたきが減って涙が蒸発し、ドライアイの原因になり、充血、角膜炎、眼精疲労、視力低下につながってしまう場合も。スマホを連続使用する場合は1時間に1〜2回程度、画面から目を離して遠くを眺めたり、目を閉じてみることで目を休息させるように心がけてください。ちなみに、乳幼児期に長時間スマホ操作すると、視力の発達が遅れる場合がありますので、お子様がいらっしゃる方はスマホ使用に気を付けましょう。
スマホを顔に近づけない
スマホは画面が小さいため見にくいこともありますが、顔に近づけないようにすることもスマホ老眼の予防に効果的。画面と目との距離を40センチ以上開けて、スマホは顔よりも下の位置に。顔全体を下げるのではなく、目を薄く開けて見下ろすようにするのが理想的です。
また、片手で操作をする場合は左右どちらかに傾きがちで、左右の眼からスマホまでの距離に差ができて目のバランスが崩れてしまいます。スマホは正面から両目で見るようにしましょう。
しっかり睡眠をとる
基本的なことですが、睡眠は目をダメージから回復させるために一番大切。また、老眼と違い、スマホ老眼の原因は目の酷使であるため、睡眠を十分とると元の見え方に戻ります。理想の睡眠時間は6~8時間。眠っている間は目に光が入らず、また眼球が上向くため、その際に筋肉がリラックスした状態になります。
注意したいのは、眠る直前までスマホを見ないこと。スマホの光は入眠の妨げになり、睡眠の質も下げてしまうので注意しましょう。
(参考記事:人生の3分の1は睡眠時間!快眠環境を整えましょう)
ブルーライト対策する
スマホにはLEDが使われているため、非常に多くのブルーライトが発せられます。スマホのブルーライト軽減機能(iPhoneでは「Night Shift(ナイトシフト))の設定など、ディスプレイの明るさを調整するだけでもブルーライトを減らすことができるので、なるべく対策しましょう。ブルーライトをカットしてくれる液晶保護フィルムやブルーライト対策メガネを活用してみるのもおすすめです。
目元を温める
目が疲れたときには、目元を温めましょう。目のまわりの血流がよくなると、目に栄養素や酸素がたくさん運ばれ、凝り固まった毛様体筋がほぐれます。温めた手をカップ状にしてまぶたにかぶせたり、ホットタオル(加熱時間の目安は600wで1分程度)、流行りのアイマッサージャーや市販のホットパックを当てるのがおすすめ。充血がひどいときは、温パックより冷パックがおすすめ。リラックス効果も期待できます。
まばたきをする
スマホを集中して見ているとまばたきが減ってしまうため、意識的にまばたき(目安は1分間に10回以上)をして、目の表面の潤いを保つようにしましょう。まばたきはなるべくゆっくりするのがおすすめ。ドライアイの対策にもなります。
ツボを押す
スキマ時間を利用して、ツボを押してみることもおすすめ。こめかみ付近にある「太陽(たいよう)」、目頭の少し下にある「晴明(せいめい)」、目頭の左右のくぼみ・鼻の付け根の横側にある「攅竹(さんちく)」が眼精疲労に効果のあるツボ。指の腹でクルクル円を描くように押してみましょう。
目の体操・トレーニングをする
目の運動やトレーニング「眼トレ」をすることで、毛様体筋が鍛えられて眼の疲れを軽減することができます。勉強や仕事の合間のリフレッシュにもなりますよ。
目を閉じて開く
目をギュッと閉じて、次に目をパッと開けるだけ。スキマ時間に簡単にできる一番手軽な目の体操です。
遠くと近くを交互に見る
遠くの景色を2~3秒見たあと、近くの物を2~3秒見る。部屋の中であれば、手元を見たあと、一番遠い壁や窓側に視点を移します。これを3セット行ってください。どちらもピントがきちんと合う距離で行うことが大切です。毛様体筋が弛緩と収縮を繰り返すことで鍛えられます。
眼球を動かす
頭は動かさずに、手を前に伸ばして親指を立てます。手で大きな円を描くようにゆっくり回してください。この時、指先にピントを合わせて眼球だけをゆっくり1周させます。右回り、左回りに1周させて1セット。これを3セット行ってください。
寄り目体操
目から30cmほど離れた位置に人差し指を出して眺めます。指を徐々に目に近付けていくと、寄り目になってきます。ピントが合わなくなる位置まで指を近付けたら、指をまた離します。これを10回ほど繰り返しましょう。眼精疲労だけではなく、肩こり改善効果も期待できます。
目に良いものを食べる
ビタミンA
「目のビタミン」と言われるビタミンA。疲れ目やかすみ目の症状を緩和し、ドライアイを防ぐ働きがあるといわれています。ただし過剰摂取には要注意。
多く含まれる食材:にんじん、ほうれん草、春菊、小松菜、かぼちゃ、ニラなど
ビタミンB
疲れ目に効果的な栄養素の代表格で、目薬にもよく使われています。なかでも、ビタミンB1とB12は視神経の活動を高めるといわれています。
ビタミンB1が多く含まれる食材:豚肉、レバー、うなぎ、玄米、大豆など
ビタミンB12が多く含まれる食材:レバー、牡蠣、しじみなど
ビタミンC
目に必要なコラーゲンを生成し、毛様体筋にも良いビタミン。強い抗酸化作用があり、目の粘膜や水晶体を保護します。ビタミンEと一緒に摂取するとより効果的。
多く含まれる食材:レモン、イチゴ、アセロラ、キウイ、じゃがいも、ブロッコリー、ほうれん草など
ビタミンE
毛様体筋の緊張やコリをほぐして、血行を良くしてくれます。老眼・白内障の予防にも。
多く含まれる食材:ヘーゼルナッツ、アーモンド、ごま、西洋カボチャ、たらこなど
ルテイン
目の水晶体の老化を防ぎ、目の疲れや充血を防ぐ効果があります。コラーゲンの合成を助け、目の毛細血管を健康に保ちます。
多く含まれる食材:ほうれん草、ブロッコリー、パセリ、ケール、よもぎ、芽キャベツ、卵黄など
アントシアニン
アントシアニンは抗酸化作用があるポリフェノールの一種。目の疲労回復を早めてくれるため、疲れ目予防のサプリに含まれていることが多く、白内障や緑内障防止、花粉症対策に。
多く含まれる食材:ブルーベリー、赤ワイン、カシス、ブドウ、プルーン、なす、黒ごま、黒豆など
アスタキサンチン
カロテノイドの一種で、強い抗酸化作用と、血流を改善する働きがあります。疲れ目の改善や、白内障予防に。
多く含まれる食材:エビ、カニ、真鯛、サケ、イクラなど
DHA(ドコサヘキサエン酸)
視神経や網膜をつくるために必要な材料となります。ドライアイの予防や視力改善、血行改善、疲れ目の予防に。
多く含まれる食材:イワシ、サバ、マグロ(トロ)、ウナギ、サケ、筋子など
まとめ
「老眼なんてまだ早い」と思っている若い方でも、スマホ老眼のリスクは大。今やスマホのない生活は難しいですが、使い過ぎは私たちの目を、健康を、大きく損ねる可能性があることを忘れてはいけません。目の疲れは、生活や仕事のパフォーマンスを低下させるだけでなく、顔が暗く、疲れたマイナスの印象を与えてしまいます。画面を見続けたあと定期的に目を休める、しっかりとケアをするなど、今一度スマホとの付き合い方を見直してみましょう。