いつから薬局で買えるの?緊急避妊薬アフターピル
アフターピル(緊急避妊薬)って?
アフターピルと呼ばれる緊急避妊薬をご存じでしょうか?コンドームが膣内で抜けたり破れた、パートナーからのセックスの強要で避妊をされなかった、レイプの被害にあったなど、妊娠する可能性のある性行為から72時間以内に服用することで、高確率で妊娠を防ぐことができる薬です。
日本での入手方法
日本で緊急避妊薬を入手するには産婦人科やオンライン診療で受診しないと処方されないこと、保険証を持っていても1万円以上(ジェネリックでも6000~9000円程度)費用がかかることからそのハードルの高さが問題になっています。
アメリカやヨーロッパ、東南アジア各国など約90か国の国では薬局やスーパーで市販化されていて、手軽に緊急避妊薬を入手できる環境にあります。価格も数百円から数千円での負担で入手できますし、イギリスはアフターピルを含め避妊はすべて無料。未成年へのピルの配布を無料で行っている国もあります。
緊急避妊薬はできるだけ早く服用することで、高確率で妊娠を防ぐことができるといわれています。そのため年末年始で病院が開いていなかった、アフターピルの存在を知らずに誰にも打ち明けることができず72時間以上たってしまったという理由で望まない妊娠をしてしまうことがあります。
アフターピルの薬局での販売を政府が検討へ
市民団体は長い間、厚生労働省に要望書を提出するなどして声を挙げ続けてきました。
また、コロナ渦で10代の妊娠相談も増えたことから、WHOなど世界の諸機関では緊急避妊薬のOTC化(薬局やスーパーどで販売・購入できるようになること)などを進める勧告が出ているようです。
今までも、緊急避妊薬を手に入れるためのハードルを下げるべきではないかという議論は行われてきましたが、2017年には見送りに。医師会を中心とした業界団体の反対もあり、あまりうまく進んでいませんでした。
2020年10月8日に政府が打ち出しへ
そんな中、政府はアフターピルを医師の診察なしで薬局などで買えるように制度を変更する方針を、今年10月8日に打ち出しました。
内容は以下の通りで「避妊をしなかった、または避妊手段が適切かつ十分でなかった結果、予期せぬ妊娠に可能性が生じた女性の求めに応じ、処方箋なしに緊急避妊薬を利用できるよう検討する」というものです。
Twitterでも話題になったアフターピル
2021年には薬局で購入できるようにする方針だと報じられたことで、「緊急避妊薬」がTwitterでもトレンド入りし話題に。市民のプロジェクトメンバーは10月27日に10万筆を超える署名と要望書を国に提出しました。
かくいう筆者もアフターピルの存在は知っていましたが、この件でもっと詳しく調べようと思ったひとり。20代のころは、アフターピルのことを知らなかったので、アンドモアの読者にも知っていただきたいと思い、この記事を書くに至りました。
日本でアフターピルの市販薬化がなかなかされない理由
2017年に薬局などでの販売化が見送られた際の理由は「時期尚早」とのこと。「販売する薬剤師の研修が不足しており、十分な指導ができない」「使用者のリテラシーの低さ」「若者の性の乱れ」を懸念するというのが主な理由でした。
アフターピルのオンライン診療での処方についても「若い女性は知識がない」「若い女性が悪用するかもしれない」などあまり理由とは言えないような理由で反対されているとも感じます。
確かに、アフターピルが薬局で買えるようになった際のデメリットとしては、手軽に買えるようになったぶん、乱用の問題が確かに出てくる可能性があります。
アフターピルがあるからといって、避妊せずに性交渉を行うことがどんなリスクがあるかなど、男女ともに正しく理解する必要があります。
今後薬局などでの販売・購入ができるようになるかはまだ不透明ですが、話題になったことで世の中の女性が関心を持っている今、正しい緊急避妊薬へと性への知識を広めるチャンスです。
誰もが当事者になりえること
妊娠すると女性の生活は大きく変わります。在学中の妊娠で退学を余儀なくされたり、仕事のキャリアをあきらめざるをえなかったり。コンドームの避妊だけでは確実ではなく、破れたりして避妊に失敗することもあるため、アフターピルの薬局での販売は筆者的にも賛成です。市民プロジェクトメンバーの代表は「女性が自分の体のことを自分で決められるのはとても大切で、だれもが当事者になり得る」と述べています。
「若い女性の性の知識」などで片づけるのではなく、男女ともに若い世代だけでなく全世代が正しい知識を持ち、自分の身体のことをよく理解し、様々な対処法を知識として知っておくのはとっても大切だと思います。